用語等の解説

中国武術に関する基本的な用語等についていくつか解説します。(門派により名称が異なる場合があります)

「応敵勢」
敵の攻撃に対応しての攻防の起点となる姿勢のことで各門派により異なります。なお、始めから敵と相対して「構える」ことは忌むべきこととされています。
「過渡式」
套路などで技法が決まった状態(定式)に移行するまでの動きのこと。拳風を生み出す「盪」の要素でもあります。
「換手」
攻防の際に交差した敵の手を、さらにもう一方の手で封じながら(手を交換するようにして)攻撃するもので、中国拳法でよく用いられます。 
「空手奪器」
ナイフや棍棒などの敵の武器を素手で制圧する方法です。ナイフなどに対しては「空手奪匕首」、拳銃に対しては「空手奪槍」といいます。
「口訣」
動作・技法の要点や攻防上の注意点などを口頭で伝えることで、古武道などでは「口伝」といいます。
「勁力」
武術による鍛錬で得られる力(功)のこと。打撃時にこれを発することを「発勁」といいます。勁力を導き出すための「勁道」は各門派により異なります。
「古義」
殺敵を旨とする昔ながらの伝統武術のこと。これに対して、体育目的で簡略化されたものを「新派」と言います。
「靠撃」
肩や背中などによる体当たりのこと。一般に、加撃する部位が手→肘→肩と体幹に近くなるにつれて威力も飛躍的に増していくため、靠撃には大きな威力があります。
「国術」
中国武術のこと。武術界のことは「武林」といいます。
「楸腿・掃腿」
どちらも敵の軸足を刈り払う技で、手技による上体への攻撃と合わせて用います。蟷螂拳などで用いられます。
「対打」
用法などを2人1組でかけあう練習のこと。用法対打とも称されます。空手でいう約束組手と同様のものです。
「點穴法」
いわゆる「ツボ」(経絡秘孔)への加撃法で、攻防の技法に加味して用います。生命に関わる「死穴」、激痛が走ったり体が麻痺したりする「麻穴」に大別され、効果も様々なものがあります。 
「套路」
いわゆる「型」のこと。「架式」「拳套」とも称されます。また、套路を構成する技法名称を記載したものを「拳譜」といいます。
「分筋搓骨法」
いわゆる逆技のこと。骨折や捻挫、肉離れなどをおこす技法で、関節を極める以外にも、関節部への打撃なども含まれます。「卸骨法」、「擒拿法」、「鉄歯法」などとも称されます。
「兵器」
いわゆる武器のこと。「軍器」とも称されます。槍などの長い物は「長兵」、短い物を「短兵」、隠し武器は「暗器」といい、門派により様々なものがあります。
「閉気裁脈法」
いわゆる絞め技のこと。気管や動脈を圧迫するなどして酸欠状態にする「直接閉気」と、それ以外の「間接閉気」があります。
「明打・暗打」
套路や用法等で一般に公開するものは「明打(文打)」、実際に用いるものを「暗打(武打)」と言います。
「薬功」
漢方薬等を用いる方法のこと。練功法による障害の予防や練習による怪我の治療のほか、毒薬への対処なども含まれます。
「摔打」
いわゆる投げ技のこと。「摔角」「摔法」とも称されます。各門派の技法に含まれるものや、それ自体で体系化されているものもあります。
「練功法」
鍛錬法のこと。各門派共通のものから、門派独自のものまで様々なものがあります。筋骨等を鍛える「外功」と内臓等を鍛錬する「内功」があります。
「老師」
先生のこと。門下生は「門徒」(拝師門徒)といい、「把式匠」「示範」「門生」「徒弟」「弟子」の区分があり、入門を認められる前は「学生」といいます。(拝師とは入門して正式に師弟関係を結ぶこと)

【補足】各種基礎技法名等                                [姿勢]弓式、虚式、仆式、独立式、七星式、四六式、入環式、馬式、二字箝羊馬、白蛇欄路式、他[歩法]上歩、下歩、進歩、退歩、跟歩、扣歩、蓋歩、換歩、三才歩、施進歩、滑退歩、蹍歩、他 [手法]冲捶、衝捶、掛捶、鑚捶、圏捶、劈捶、切掌、印打、摔手、拍手、挿手、虎爪掌、勾手、他[腿法]踢脚、活面脚、擺脚、虎尾脚、斧刃脚、踹脚、二起脚、圏脚、他